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0歳児から育っていくのが当たり前なの?

 麦っ子では0才から順番に育っていくことが当然だと考えています。それはどういうことかといいますと、一般 社会はまず(一流企業)大学があり、そのための高校があり、その高校へ入るための中学があり、その中学に入るための小学校、その小学校へ入るための幼稚園、保育園はそこに入るための前段となっていますが、麦っ子はこういう一般 社会とはまったく逆の考え方をしているということです。

 0才から6才までの子どもたちにとって何がいちばん必要なのでしょうか−?それはお散歩の具体的な方法を覚えることであり日常のけんかや遊びを通 じて自分と相手、あるいは全体を知ることであり、土や草木や風に触れることであり、しっかりした自然の恵みを食べる等など全てにおいてです。ですから麦っ子では文字や数字などは教えません。そして赤ちゃんの時から障害のある子もない子もみんな一緒に育っていきます。障害があるからお散歩に連れていかない、合宿に参加させないなどということは絶対ありません。みんなと一緒に行きます。たとえば、うまく歩けない子どもをどうやって連れていくか、子どももおとなも一緒に考えながら、こうやればいいんだというやり方を試行錯誤しながらやっていきます。そのうちにとても楽しい散歩ができるようになり、うまくいったときはみんなもやったーという気持ちになります。

 また、障害児は手がかかるからおとなの人数をその子のために増やすとか介護の人を付けるということもしません。それは友達として子どもたちがやってくれます。子どもたちはうまく行かないときは焦れたり、放ったらかしにしてしまう事もありますが、おとなに怒られたり、自分で反省したりしながらその子との付き合いを深めていきます。障害児は障害児という子どもではありません。子どもです。子どもの友達になりえるのは決しておとなではないのです。たとえばこんなことがありました。みんなでデカ部屋で作業をしているとき、だんだん飽きてきていやになる頃一人の子が庭で遊んでいるのに気付いた一人は「○○らゃんよんで来るー」といって庭に呼びにいきます。「おれもー」「あたしもー」と何人か行って連れ戻しにいきます。しかしこれは作業に飽きた子たちの息抜き方法であり、「あなたたちこそしっかり作業しなさい」と言いたくなる子たちが多いのですが、こういう関係もおもしろいと思います。

 たとえば麦っ子のマラソンについていえば以前の麦っ子はヨーイドンで全員が走りだしだれが一番だったとか、だれが速いとかそういうマラソンでしたが、障害を持った子が入ってきて一緒にマラソンをするようになってからは、みんながどうやって一緒に最後まで走るのかというマラソンになりました。

 速い子は先に行って車が来そうな所とか何箇所か必ず待つ場所で、みんなが来るまで足踏みをしながら待っています。さらにはあんまり遅いと、折角その場所まで一番で走っていった子も逆戻りして遅い子を迎えに行って連れてきたり、時には手をひっぱって一緒に走ったりもします。マラソンも待つマラソン、一緒に走るマラソンになりました。

 障害を持ってるといわれてきた子供で(障害児でなくても)、簡単に麦っ子の外へと出ていってしまう可能性のある子も何人かいました。しかし麦っ子は柵も高くしなかったしバラ線も張りません。出そうになる要注意人物は一時も目を離せないので職員はとても緊張していますが、何度も何度も何度も出そうになるたぴにしつこく叱ったり、まわりの子が気にしはじめて注意したりしているうちに外へは出なくなります。本人にわからせる以外にないのです。

 安全性というものは管理のなかから生まれるものではなく、生活のなかから出てくるもの、日々の生活から培っていくものだと考えています。おとなの側の管理という点でいえば規制しかなくなりますが子ども自身が体で安全性というものを身につけていかなければ何の意味もありません。

 麦っ子でお散歩にいくとき、必ず大きい子が車道の側を歩きます。たとえば0歳児と1歳児のお散歩でも、1歳児の子が車道側を歩きます。「小さい子の面 倒を見るように、小さい子が危なくないように」というと、1歳児の子たちも自覚をもって頭張るのです。この場合もちろんおとなが非常に気を使って歩くわけですが。そしておとなより絶対に先に行ってはいけない、小さな道の四つ角でも必ず止まってみんなを待ってから一緒に渡るなど、子供がわかるようなやり方で安全管理をしています。

 麦っ子の柵を高くしたり、バラ線にして痛いから出ていかないようにしたり、車は危ないからお散歩に出ない、川は危ないから遊びにいかないなどとすることはとても簡単です。現に他の保育園、幼稚園ではそういった状況ですから。しかし麦っ子はあえてそういう意味での管理はしないし、職員もそれ相当な覚悟で保育をしているのです。このあたりのことについては各クラスの懇談会などで、具体的な内容を通 じて親の皆さんと職員と何度も話していきたいと思っています。

 

 

 



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