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「オーガ」掲載記事

廣済堂出版「オーガ 1999 Summer Vol.07」
-子どもにやさしいオーガニック 子どもの安心食生活-
   

神奈川県座間市 麦っ子畑保育園

「泥んこになって遊べ!! - 心と身体のバランスが大切」

TEXT by lzumi Sasaki

   

食事療法だけでなく、
子どもを取り巻く環境から改善していく。
アレルギーの子も、
そうでない子も、
ここではみんなが土塊の子。

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 柱が黒光りするほどの古い木造家屋と砂場のある庭。惜しみなく降り注ぐ陽の光が縁側に心地いい日溜まりをつくっている。部屋を駆け回る子、砂場で泥んこになって遊ぶ子、縁側ではしゃぐ子どもたち、ここ『麦っ子畑保育園』には嬉々とした子どもたちの声が溢れていた。
「健康な子どもだけでなく、障害を持っている子や病気の子、アレルギーのひどい子と、どんな子どもでも受け入れていく場をつくりたい、そんな思いからこの保育園を始めたんです」
 園長の大島貴美子さんが麦っ子畑を開いたのは22年前。現在の園児は67人、0歳児から就学前の子どもを預かっている。

野菜と雑穀を中心に献立づくり
お手本は日本の伝統食

「園児のほぼ半分が何かしらの食物アレルギーを持っているので、基本的な普通 食の献立から油を抜いたり、別の食材で代用してアレルギーに対応しています」

 料理の素材は旬の野菜が中心。すべて無農薬の野菜で、皮などを捨てずに丸ごと食べるよう工夫している。普通 食でも肉は月に1回、魚は2〜3週間に1回、大豆に反応する子もいるため豆腐も1週間に1回で、卵、乳製品は使わない。油は菜種油、ゴマ油、オリーブ油のみ、調味料は国産の材料からつくられた無添加のものだ。お米と雑穀を一緒に食べるとそれぞれのアレルギーを打ち消す作用があるため、アワやヒエ、黒米などの雑穀を毎食白米に約2割ほど混ぜている。

 一方アレルギー食の場合は、基本的には無油調理。肉抜きで、魚や豆腐もその子の状態によつて種類を変えたり抜いたりしている。

 魚はアレルギー反応が最も出にくいイワシが多い。素材をできるだけ丸ごと食べるという目的からもイワシが好ましいという。

「アレルギーがひどい子の場合はどうしても除去食になってしまう。でもね、お米と雑穀を混ぜるように、食材の相互作用を利用しながらできるだけ多くの種類を徐々に食べられるようにしていきます。パンも小麦アレルギーの子には雑穀入りにしているんですよ」

 この日のメニューは黒米入りのご飯と野菜の重ね蒸し、青菜と玉ねぎのおひたしと、菜種油で揚げた車麩のくず煮。アレルギーの子には小麦たんぱくの車麩ではなく、大根としいたけのくず煮に変える。

「野菜本来の味を出すよう、重ね蒸しには水を加えずに弱火でじっくりと蒸して、塩を少し加えるだけ。しよう油で味付けする車麩は、味も口に入れたときの食感も肉に似ているので子どもたちは大喜びですね」 素材が持つうま味を生かし、子どもの嗜好も大切にする。調理を担当している人たちが常に心がけていることだ。

食事療法だけでなくバランスのとれた空間
人間関係も大切

 天気のいい日は庭にテーブルを出して昼食タイム。私もピクニック気分で仲間に入れてもらつた。野菜の甘味が口に広がり、車麩は確かに肉に似ているような……。満腹になった子どもたちの元気度はさらに高まる。

「ここでは先生と園児という関係ではなく、大人の私たちも子どもと同じ土俵に立って、一緒に遊びながら楽しんじゃうんです」

 お互いにストレスを感じない関係をつくりたいと語る大島さん。鍼灸師であるご主人の協力もあり、アレルギーのひどい子には温灸治療も取り入れている。

「食事だけにこだわっていても、アレルギーは治らないと思うんです。空気や水、土や友人関係など周りにあるいろいろなものにふれながら全体を高めていく。これに触っちゃダメ、これはしてはいけないという無菌状態では、精神的にもいつかは無理が生まれてきます。心と体が切り離せないように、自然にバランスをとっていくことが大切なんでしょうね」

 多少汚くても構わない。おおらかにデンとしている大島さんの周りを、泥んこになった麦っ子たちが走り回っていた。

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(写真キャプション)庭の木陰にテーブルを広げてランチタイム、食べ物が口に入っているときだけは静かな子どもたち。 目の前にあるお皿の料理をペロッと平らげてしまっても大丈夫。ここではお代わりが自由なのだ
(写真キャプション)昼食前の台所はまさに戦場?  3人の役割分担が自然と決まり そつなく仕上げていく手順には脱帽。知り合いの農家の人が 野菜を持ってきてくれることもある
(写真キャプション)園長の大島貴美子さん。 麦っ子の第一期卒園生が近々結婚するそうだ。 ここを巣立った子どもと今もつながっている
(写真キャプション) 朝の準備体操といったところ。 音楽に合わせて? 体を自由に動かす 先生のように恰好よく決めたい。 子どもたちの目は真剣そのものだった
(写真キャプション)どこか懐かしい雰囲気の家。 保育園という看板がなけれは ひとつの大家族のよう
(写真キャプション)いつの間にか口の周りや洋服に 食べ物の地図が描かれていく。 1歳以下の子も野菜と雑穀が中心の献立。 米、アワ、ヒエと単品のお粥で アレルギー反応の度合いを調べていく。 野菜はすりつぶしてスープに
(写真キャプション)御馳走になった本日の昼食。野菜がメインだが腹持ちがとてもよく夕飯を少なめにしたほど、なぜ?

INFORMATON

麦っ子畑保育園 神奈川県座間市南栗原1-4-2 TEL&FAX 046-255-7087  

 



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